1.減数分裂とは?
減数分裂とは、生殖細胞でのみ起こる特別な細胞分裂のことです。1つの二倍体細胞から、遺伝的に異なる4つの半数体配偶子を生み出します。卵子や精子といった配偶子を形成するために不可欠な仕組みであり、性的生殖と進化の基盤を支えています。
配偶子同士が受精すると、染色体数は再び二倍体に戻り、次世代の個体が誕生します。この循環によって、種としての染色体数が維持されるのです。
本記事では、減数分裂I・減数分裂IIの全8段階に加え、染色体組換えの仕組みまでを体系的に解説します。さらに、正確な減数分裂図の描き方や、学習や資料作成に役立つテンプレートも紹介します。
2.減数分裂IとIIの違い|2段階分裂プロセスを解説
減数分裂は減数分裂Iと減数分裂IIという2段階に分かれ、各段階には4つの主要なステージがあります:前期, 中期, 後期および終期
減数分裂Iでは、染色体数が半減します。この段階で相同染色体が分離し、各対から1本ずつを持つ2つの娘細胞ができます。ここで遺伝的多様性が生まれます。
減数分裂II(等数分裂)は、体細胞分裂に似ています。姉妹染色分体が分離し、4つの半数体細胞が作られます。2つのステージの主な違いは以下の表の通りです:
| 減数分裂I | 減数分裂II |
|---|---|
| 染色体数が二倍体から半数体へ半減する | 染色体数はそのままで更なる半減は起こらない |
| シナプシスが起こり相同染色体が分離する | シナプシスがなく姉妹染色分体が分離する |
| クロッシングオーバーと遺伝子組換えが生じる | クロッシングオーバーは起こらない |
| この段階の最後で2つの半数体細胞が作られる | この段階の最後で4つの半数体細胞が作られる |
3.減数分裂の8つの段階
減数分裂Iと減数分裂IIは、それぞれ前期・中期・後期・終期の4段階から構成されます。なお、減数分裂に入る前には前間期があり、この段階で細胞の成長とDNAの複製が行われます。各ステージは以下の通りです:
前期I:クロッシングオーバーと遺伝子組換え
前期Iは減数分裂の中で最も長い段階で、5つの小段階に分かれます。
- レプトテンでは、未凝縮だったクロマチンが次第に凝縮し、染色体として認識できるようになります。
- ジゴテンでは、相同染色体同士が対合し、シナプシスが始まります。ここでシナプトネマ複合体が形成され、染色体の結合が安定します。
- パキテンでは、組換え結節が形成され、クロッシングオーバーによる遺伝子交換が起こります。
- ジプロテンでは、相同染色体の分離が始まり、交差部位はキアズマとして観察されます。
- ダイアキネシスでは、染色体がさらに凝縮し、核膜と核小体が消失して次の段階への準備が整います。
中期I:染色体の独立配列
中期Iでは、紡錘糸が染色体の動原体に結合し、相同染色体対が細胞中央に整列します。この配置は無作為であり、「独立の法則」と呼ばれる遺伝的多様性の重要な要因です。
後期I・終期I:第1分裂の完了
後期Iでは、相同染色体がそれぞれ反対方向へ引き離されます。終期Iになると、半数体の染色体セットを持つ核が再形成され、続いて細胞質分裂が起こります。
その結果、2つの半数体娘細胞が生じ、それぞれが次の減数分裂IIへと進みます。
減数分裂II:4つの配偶子細胞の生成
減数分裂IIは、減数分裂Iで生じた2つの半数体細胞から始まります。ここでは姉妹染色分体が分離し、最終的に4つの半数体配偶子が形成されます。
- 前期IIでは染色体が再び凝縮し、核膜が消失します。
- 中期IIでは染色体が赤道面に整列し、紡錘糸が動原体に結合します。
- 後期IIでは姉妹染色分体が分離し、両極へ移動します。
- 終期IIと細胞質分裂を経て、4つの半数体細胞が完成します。
4.減数分裂の図解の描き方:初心者向けステップ解説
体細胞分裂と減数分裂は、発生細胞や生殖細胞など体内で異なる場面で生じます。体細胞分裂は体細胞で生涯続き、2つの全く同じ二倍体娘細胞を生みます。組織修復や成長、傷ついた細胞の置換に使われます。
正しいツールを使えば、減数分裂図の作成も難しくありません。EdrawMaxのような生物イラスト作成ツールで自由自在に描けるから、課題やプレゼン、塾や学校教育にも最適です。減数分裂図の描き方を、手順付きで解説します。

Step1 ツールを起動して作業開始
パソコンでEdrawMaxを起動します。白紙またはテンプレートを選択して新規作成し、減数分裂図の作成を始めます。
Step2 素材を検索する
必要な要素をシンボルライブラリから必要な図形や細胞核・染色体などの細胞のイラストを検索して利用します。前期・中期・後期・終期など各段階を再現できるよう、必要に応じて要素を複製しキャンバスに配置します。

Step3 画像とテキスト追加&整列
「画像挿入」機能で減数分裂I・IIの高画質画像や図を取り込み、視覚的な理解を深めます。

画像のサイズ変更・回転・配置で全体が整理され、各段階が見やすく載るよう工夫します。
Step4 各段階をコネクタ線でつなぐ
テキストツールで各段階名やポイントをラベリング。工程とイベントが一目で伝わるよう解説を添えます。

すべての画像とテキストボックスをまっすぐ・順序正しく配置し、進行の流れが分かるように整えましょう。
矢印やコネクターを用いて段階同士をつなぎ、分裂過程を視覚化します。
Step5 エクスポート

仕上がった生物図をPDF/PNG/JPG/GIFなど好きな形式でエクスポートし、課題・発表・プリントにご活用ください。
5.減数分裂に関するよくある質問
1.なぜ減数分裂は遺伝的多様性を生み出すのか?
減数分裂は遺伝的に独自な半数体細胞を生み、種の進化や遺伝的多様性に不可欠です。主な段階は次の通りです:
- クロッシングオーバーでは相同染色体同士で遺伝子を交換し、子孫に新しい遺伝子組み合わせをもたらします。
- 染色体の独立した配列は減数分裂Iの中期で起こります。染色体の並びがランダムなため、多様な遺伝子組み合わせができます。
2.減数分裂と体細胞分裂の違いとは?
減数分裂と体細胞分裂は、役割も結果も大きく異なります。体細胞分裂は、成長や組織修復を目的として体細胞で行われ、二倍体の親細胞から遺伝的に同一な2つの娘細胞を生み出します。
一方、減数分裂は生殖細胞でのみ起こり、染色体数を半減させた配偶子を作ります。この過程で遺伝的多様性が生まれ、世代交代が成立します。