この記事では、葉の構造を断面図で分かりやすく説明していきます。主なパーツである表皮、葉肉組織、維管束、気孔とそのはたらきもバッチリ解説します。さらに、簡単な葉の断面図の描き方や、葉の構造図の無料テンプレートも用意。
生物の勉強をしている学生さんはもちろん、先生や初心者の方でも、これを読めば「葉の構造と役割」がしっかり理解できます。
1.葉の主な部分とは?
葉の構造の主なパーツは、葉肉(メソフィル), 維管束、そして表皮です
表皮:外側を守るプロテクト層
表皮は葉のいちばん外側を覆う層です。乾燥や外部の刺激から植物を守るバリアの役割があります。表皮は主に「上表皮」と「下表皮」の2層からできています。
多くの植物では、気孔が下表皮に分布し、ガス交換の働きを担っています。また、表皮は「半透膜」として、必要な物質だけを通します。その上に「クチクラ」というワックス状の膜があり、水分の蒸発を防いでいます。
葉肉:光合成のパワースポット
葉肉(メソフィル)は、上表皮と下表皮の間にある葉の中心部分で、ここで光合成が行われます。葉肉は「柵状組織(さくじょうそしき)」と「海綿状組織(かいめんじょうそしき)」の2種類で成り立っています。
柵状組織には、太陽のエネルギーを吸収する葉緑体がたっぷり入っています。海綿状組織は内部にたくさんの空間があり、ガス交換を助けています。根っこから導管(木部)で水やミネラルが葉肉部分に運ばれ、ここで光合成によって栄養ができる仕組みです。
維管束:水分と栄養の流れ道
維管束(いかんそく)は、植物全体の“輸送経路”となる組織です。葉脈(みゃく)の中にあって、葉肉の近くで、植物の各部へ水分・ミネラル・栄養を届けます。維管束は2種類があります:
- 木部(道管):土からとった水分やミネラルを葉っぱまで運びます
- 師部(篩管):葉で作られた栄養を植物全体に届けます
2.気孔はどうやって働くの?
気孔は、葉の表面にある超ミニな穴で、二酸化炭素や酸素、水蒸気の出入り口です。
孔辺細胞とガス交換のしくみ
それぞれの気孔には孔辺細胞(こうへんさいぼう)が2つセットで囲んでいて、二酸化炭素・酸素・水蒸気を出し入れします。日中は、孔辺細胞にカリウムイオンが多くたまり、パンパンに膨れます。
この圧力で気孔が開きます。逆に夜になるとカリウムイオンが抜けて、孔辺細胞はしぼんでしまうので、気孔が閉じます。こうして気孔は開閉します。
気孔の開閉と環境コントロール
気孔の開閉は、周りの環境によって変わります。昼間は気孔が開き、空気中から二酸化炭素を取り込み、光合成をします。つまり、葉は日光で食べものを作るんです。
夜は日光がないので気孔も閉じてしまいます。また、暑くて乾燥しているときも蒸発を防ぐために気孔は閉じます。こうした開閉コントロールは、呼吸や蒸発防止に超大事なポイントです。

図解で分かる気孔の働き
気孔運動は細胞の形や内部圧力の変化がポイントなので、図を使うとイメージがしやすいんです。
はっきりラベル付きで描くことで、孔辺細胞や気孔の位置、開いてる状態・閉じてる状態の違いが一目で分かります。自分で図を描きながら勉強することで、ミクロな構造もスイスイ頭に入ります。
葉の構造をマスターするには、自分で図を作るのが近道。デジタルで図を作れるツールなら、シンプルな形や生物記号を選ぶだけで分かりやすく整理できます。正確に描くよりも「構造とラベル」に集中できちゃいます。
EdrawMaxは、葉の解剖図や気孔の構造図など「生物の図解」にピッタリな高度ツール。豊富なテンプレやシンボル、図形があるので、誰でもサイエンス図をキレイに、簡単に作れます。直感的な操作で、学生さんや先生にも大人気!
3.葉の断面図の書き方
葉の断面図では、上表皮・下表皮、葉肉組織、維管束、気孔などの構造が一目で分かります。葉の断面図を描くのが難しそう…と思うかもですが、チュートリアル通りに描けば簡単!ここでは、便利な科学イラスト作図ツールEdrawMaxで葉の構造図を描く手順と注意点を紹介します。
ステップ1
EdrawMaxをダウンロード、またはオンラインで試します。「科学」カテゴリの「生物学」へ移動します。

ステップ2
「葉 構造 図 テンプレート」と検索して、テンプレートを見つけて編集開始。

ステップ3
各パーツはクリックするだけで編集できます。パーツの色やサイズもカスタマイズOK。表皮、柵状組織、海綿状組織など、自由にラベルも付けられます

上表皮・下表皮の描き方
- まず、上下2本の細い横線を描き、上表皮・下表皮を表します。
- 次に、両方の線に波線を加え、長方形の細胞をぎゅっと詰めて描きましょう。
- 下表皮には気孔を描くために、少しスペースを空けておくのがポイント。
- 上表皮には、クチクラ層ももう1本追加して描くと完璧です。
- 色を塗って、表皮とクチクラの層がハッキリ分かるようにしましょう。
柵状組織と海綿状組織の描き方
- 葉肉は、2つの表皮の間に配置されています。
- 柵状組織は、上表皮の下に棒状の細長い構造体として描き、境界をハッキリ太線で描きましょう。
- この細胞には光合成する葉緑体が入ってるので、濃い緑の点を点々と描きます。
- 続いて、柵状組織と下表皮の間には、不規則な形で大きな隙間のある海綿状組織を描きます。
- 海綿状組織付近には、楕円形や豆型の維管束も忘れずに。
植物の断面で気孔の構造を描く
- 気孔は呼吸やガス交換のための小さな開口部。孔辺細胞がその開閉をコントロールします。気孔の構造をちゃんと理解するには、孔辺細胞と気孔の形を知ることが大切です。
- 扁平な腎臓型2つを向かい合わせに描き、孔辺細胞を表しましょう。
- 気孔が開いている場合は、その間に隙間を。中に水分やカリウムイオンがたまっている証拠です。
- 閉じている場合は2つがぴたっとくっ付いていて、孔辺細胞はしぼんでいるのがポイントです。
ステップ4
編集が終わったら、図を次の形式でエクスポート:PDF, SVG, MS Officeファイル、あるいはJPG。友だちや先生とシェアして、葉の構造をみんなで理解しましょう。

4.葉の構造のいろいろな種類
単葉と複葉のちがいは何?
葉の構造で「葉身(ようしん)」の姿によって、葉っぱは2タイプに分かれます。単葉は、一枚だけのシンプルな葉身が葉柄で茎にくっついています。マンゴー・ナシ・カエデなどが単葉の例です。
複葉は、葉身がいくつも独立した「小葉」に分かれています。バラ・ニーム・エンドウ豆などが複葉です。違いは下の表でチェック!
| 項目 | 単葉 | 複葉 |
|---|---|---|
| 葉身の分かれ方 | 一枚で分かれていない葉身 | 複数の「小葉」に分かれる |
| 葉の並び方 | 下から古い葉、上に新しい葉(アクロペタル型) | 小葉にはアクロペタル型の並びはない |
| 茎との結合 | 1本の葉柄で茎と連結 | すべての小葉が1本の葉柄につながる |

単子葉類 vs 双子葉類の葉の構造比較
種子の子葉(コチレドン)の数によって、植物は単子葉類と双子葉類に分かれ、両者では葉の構造も異なります。ポイントは下の比較表でどうぞ↓
| 項目 | 単子葉類 | 双子葉類 |
|---|---|---|
| 葉の形・葉脈 | 細長くて平行脈 | 広くて網目状脈 |
| 上下の表皮の構造 | あまり違いなし、どちらもほぼ同じ | はっきりした違いあり |
| 葉肉の分化 | 分化があいまい | 柵状組織と海綿状組織で分化 |
| 気孔の分布 | 上表皮・下表皮の両方に存在 | 主に下表皮に分布 |
| 維管束の数・位置 | 多くの維管束が散らばる | 少なめで規則的に並ぶ |
| 例 | コムギ・トウモロコシ・イネ | ヒマワリ・エンドウ・ワタ |