IT業界のプロジェクトに関わったことがある方なら、一度はインフラ構成図を目にしたことがあるでしょう。しかし、いざ自分で作成しようとすると、どこから手をつければいいのか戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか。
本稿では、インフラ構成図とは何かをわかりやすく解説したうえで、実際の書き方について具体的にご紹介します。
1.インフラ構成図とは?
1.1 インフラ構成図の定義と使われる場面
インフラ構成図とは、機器の接続関係や機器の配置場所を視覚的にわかりやすく表したものです。
一般的にインフラ構成図はネットワーク構成図とサーバ構成図を組み合わせたものとされています。
・ネットワーク構成図
ネットワーク内にある機器や通信経路などを記載した構成図です。スイッチやルータなどのネットワーク機器をはじめIPアドレスやVLANなどの情報を記載します。
・サーバ構成図
システムの基盤であるサーバーに関する情報について整理した構成図です。アプリケーションやサービスが実行されるサーバー・データベースサーバーなどの情報の他に、サーバー間の通信に使用されるプロトコルやポート番号を記載します。
通信経路や接続関係を示すネットワーク構成図と、各サーバの役割や配置・使用するサービスなどを示すサーバ構成図を併せて記載することで、インフラ全体の構造や関係性が可視化され、設計・運用・トラブル対応などの場面で非常に役立ちます。
1.2 インフラ構成図に含まれる主な要素
インフラ構成図を作成する際、主に以下項目を使用します。
・ネットワーク機器:ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど
・サーバー:Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーなど
・ソフトウェア:OS、ミドルウェアなど
・IPアドレス
・セグメント情報
・VLAN
・プロトコル
・機器間の通信経路や依存関係を示す線や矢印
主な要素だけでも情報量が多くなるため、インフラ構成図を作成する際には情報をいかに整理して見やすく配置するかが重要です。要素の配置やラベルの付け方で図の見やすさが大きく変わるため、作図時はそれらを意識しましょう。
2. インフラ構成図の種類
インフラ構成図には用途や表現する内容に応じていくつかの種類があります。目的に合わせて適切な図を選ぶことで、より効果的に情報を伝えられます。
ここでは、代表的な4つの種類をご紹介します。
①物理構成図
物理構成図とはサーバー・ルーター・スイッチなどのハードウェア機器の実際の配置や、それらを接続する配線など物理的なネットワーク構成を示す図です。データセンター内のラック構成、機器の設置場所、ケーブルの接続関係などを把握する際に使用されます。

画像出典:ネットワーク設計現場で作る資料たち
②論理構成図
論理構成図とはIPアドレス・ホスト名・VLAN・サーバー間の通信フローなど、システムやネットワークの論理的なつながりを示す図です。システム間の連携や通信経路、データの流れを把握する際に使用されます。

画像出典:ネットワーク設計現場で作る資料たち
③システム構成図
主にハードウェアの関係性にフォーカスした構成図です。システム全体でハードウェアがどこに配置されているか、構成されたハードウェアがどのような役割を担うのかなどを詳しく表現します。

画像出典:わかりやすいシステム構成図の書き方
④クラウド構成図
クラウド構成図とは、AWSやAzure・GCPなどのクラウド環境におけるインフラ構成を示す図です。 クラウド上でのリソース(仮想サーバー・データベース・ネットワークなど)の配置や接続関係を可視化するために使われます。

これら4種類のインフラ構成図の違いについて表でまとめます。
| No | 図の種類 | 使用タイミング | 主な対象者 | 目的 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 物理構成図 | インフラ構築時 | インフラエンジニア、ネットワーク管理者 | サーバやネットワーク機器の配置・接続関係を明確にし、物理的な設計・配線計画を立てるため。 |
| 2 | 論理構成図 | セキュリティ設計時 | セキュリティ設計者、ネットワーク設計者 | 通信経路やアクセス制御の設計、セグメント分けの検討など、論理的な構成を把握するため。 |
| 3 | システム構成図 | 開発・運用設計時 | 開発者、運用担当者 | 各システムの役割や連携関係を共有し、開発や運用の全体像を把握するため。 |
| 4 | クラウド構成図 | クラウド導入時 | クラウドアーキテクト、インフラ担当者 | クラウド上のリソース構成やネットワーク設計を最適なものにするため。 |
3.インフラ構成図の描き方・手順
インフラ構成図を作成するためのツールのひとつにEdrawMaxがあります。
ここでは、EdrawMaxを使用したインフラ構成図の作成方法について紹介します。
準備作業① 現状調査:ネットワークとシステムの把握
インフラ構成図を作成するときに機器の種類や接続状況、利用中のサービスなどを正確に把握することで、図の精度と実用性が大きく向上します。
準備作業②要素の整理:ハード・ソフト・クラウドの分類
要素を「ハード」「ソフト」「クラウド」に分類することで、構成の整理と理解がしやすくなります。ハードは物理機器、ソフトはOSやミドルウェア、クラウドは仮想環境やサービスを指し、それぞれの役割を明確にすることが重要です。
Step1 ネットワーク図のテンプレートを開く
EdrawMaxのホーム画面の検索バーにて「ネットワーク」と入力します。

検索するとネットワーク図の種類が表示されるので、内容に合ったものを選択します。
例えば、Cisco機器が主なネットワーク図を作成したい場合、「Ciscoネットワークトポロジ」を選択するとCisco機器の図形を使用したテンプレートが表示されます。

Step2 記号素材を追加する
内容に沿ったテンプレートを選択して編集画面が表示されたら、必要な図形を随時追加していきます。
例えば、ルーターを追加したい場合、画面左側の図形タブをクリックし、検索バーで「router」と入力して検索するとルーターの図形が表示されます。そこから作成するネットワーク図に合った図形を、左クリックあるいはドラッグ&ドロップでネットワーク図に追加します。

Step3 ネットワーク図をカスタマイズする
図形の配置や機器の通信関係などが完成したら、ネットワーク図全体をきれいなデザインにします。
画面上部にあるデザインタブにある「美化」タブでは図形や文字などのテーマを設定でき、「背景色」タブでは背景の色を指定したり背景に画像を挿入したりできます。これらを駆使することで、見た目にも美しいネットワーク図を作成できます。

Step4 保存/エクスポート/印刷
作成したネットワーク図は、画面上部のファイルタブにて保存したりエクスポートや印刷を行ったりすることができます。
保存する場合は「名前を付けて保存」をクリックし、保存先・ファイル名を指定して保存します。保存先はローカル端末とクラウド上どちらでも指定可能です。

エクスポートする場合は、「画像にエクスポート」・「PDFにエクスポート」・「他の形式にエクスポート」のいずれかをクリックしてプレビュー画面を表示します。
プレビュー画面でファイル名やエクスポート先を指定した後、画像・PDF・Word・Excelなどの様々なファイル形式から選択してエクスポートできます。

印刷する場合は、「印刷」をクリックし、枚数や紙のサイズなどを指定して印刷できます。

4.おススメのNW構成図作成ツールEdrawMax
ネットワーク図を作成するにあたり、EdrawMaxには3つの強みがあります。
3つの強みを活かすことができれば、作図作業の効率が上がり、業務を円滑に進められるようになります。
特徴①NW構成図に関する豊富なテンプレートと素材
EdrawMaxには全体で1000以上の高品質なテンプレート・280種類以上の図形が用意されており、様々なタイプのネットワーク図を作成できます。
また、それぞれのテンプレートに合った図形が使用できるようになっているため、多くの種類の中から自分で選出する必要はありません。テンプレートを選ぶだけで、初心者でも統一感のあるきれいな図を作成できます。

特徴②バージョン管理
ファイルをクラウド上に保存する場合、変更や修正を行うたびに古いバージョンが履歴として保管されます。いつ誰が設計変更したのかを履歴で追うことができ、設計変更の流れを理解するのに役立ちます。
また、古いバージョンと今のバージョンの違いを比べたり、古いバージョンに戻したりすることもできます。変更箇所を特定したい場合や、変更内容が間違っていて変更前の状態に戻したい場合に有効です。

特徴③ 高い交換性
エクスポート方法の際に述べていますが、EdrawMaxは様々なファイル形式で保存できます。保存だけでなくEdrawMaxにインポートすることもできます。異なるツールを使用している人とのデータの連携が円滑に行えます。
また、Windows・Mac・Linux・Web版いずれにも対応しており、どのOS・ソフトウェアでも共通した方法で操作できるため、導入しやすい点も魅力です。
