『水滸伝』の梁山泊は一枚岩ではなく、血縁や出身、利害関係によって結ばれたいくつかのグループから成り立っています。これらのグループは梁山に集まり、「天に代わって義を行う」の旗のもとで複雑な連携を作りました。ここでは、主な派閥ごとの基本情報、主要人物、他派閥との関係、結末をまとめます。
1. 宋江直系
主要人物:李逵、呉用、花栄、戴宗
特徴:宋江と最も親しいグループで、梁山での宋江の中心的な支えとなる。
他派閥との関係:
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呉用:もともと晁蓋の部下で、晁蓋の死後に宋江を補佐。
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花栄:秦明(降将グループ)と親戚関係があり、派閥間のつながりを強める。
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戴宗:各地を行き来して情報を伝え、李俊や張横(揭陽幇)と協力。
結末:
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李逵:方腊征討後、宋江に毒酒で命を絶たれる
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呉用・花栄:宋江の墓前で自ら命を絶つ
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戴宗:方腊征討後、官を辞して出家
2. 名門貴族勢力
主要人物:盧俊義、柴進、李応
特徴:裕福な家柄出身で、さまざまな事情で梁山に加わった。
他派閥との関係:
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盧俊義:宋江直系の呉用により梁山に加入。弟子の燕青は宋江直系と親しい。
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柴進:宋江、林冲(晁蓋旧部)、武松(二竜山派)らを助けた。
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李応:元は独龍崗三庄の一つ。祝家庄事件後に梁山に従う。
結末:
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盧俊義:方腊征討後、高俅らに毒殺
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柴進:官を辞して平民として生涯を終える
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李応:商業に戻り、平穏に死去
3.二竜山派
主要人物:魯智深、武松、楊志、張青、孫二娘
特徴:青州二竜山を拠点とする山賊勢力。桃花山や白虎山と合流し、三打青州後に梁山へ。
他派閥との関係:
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魯智深:林冲と義兄弟。宋江とも旧知。
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武松:柴進に庇護され、梁山上後は魯智深と反招安を貫く。
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楊志:元軍人で、魯智深・武松と義を結ぶ。方腊征討では降将と共に戦う。
結末:
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魯智深:六和寺で入定
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武松:六和寺で出家、80歳まで生存
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楊志:方腊征討中に病没
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張青・孫二娘:戦死
4.少華山派
主要人物:史進、朱武、陳達、楊春
特徴:少華山を拠点とする山賊勢力。官府の圧迫を受け、梁山に従う。
他派閥との関係:
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史進:魯智深と協力し、宋江直系とも連携
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朱武:呉用と共に作戦を考える
- 陳達・楊春:晁蓋旧部と共に戦う
結末:
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史進:杭州城戦で戦死
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朱武:出家
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陳達・楊春:戦死
5. 揭陽幇
主要人物:李俊、張横、張順、穆弘、李立
特徴:地方勢力。宋江を助け、梁山に従う。
結末:
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李俊:方腊征討後、暹羅に赴く
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張順:戦死
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穆弘:病死
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李立:戦死
6. 登州系
主要人物:孫立、孫新、顧大嫂、解珍、解宝
特徴:登州を拠点とする家族勢力。救出事件後に梁山に加わる。
結末:
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孫立:官職に復帰
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解珍・解宝:崖から落ち戦死
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孫新・顧大嫂:孫立と共に帰郷
7. 降将グループ
主要人物:関勝、呼延灼、張清、董平
特徴:元朝廷軍人で梁山に従う。主に軍事力の中核。
結末:
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関勝:酔って落馬して死亡
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呼延灼:抗金戦で戦死
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張清・董平:戦死
8. 晁蓋旧部
主要人物:林冲、阮小二、阮小五、阮小七、劉唐
特徴:晁蓋が最初に集めたグループ。梁山初期の中心勢力。
結末:
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林冲:病死
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阮小二:自刎
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阮小五:戦死
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阮小七:庶民に降格し死去
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劉唐:戦死