エクセルでER図を描くためには、ER図の要素とエクセルの作図機能を事前に知っておく必要があります。しかし、ER図は専門的で書き方がよくわからない方もいます。そこで、エクセルでER図を描く方法を解説します。
1.エクセルでER図を描く前に確認すべきポイント
以下にエクセルでER図を描く前に確認すべきポイントを取り上げます。
1.1 ER図の要素
ER図の要素は、以下の4つが基本です。
- エンティティ(実体)
- アトリビュート(属性)
- リレーションシップ(関係)
- カーディナリティ(多重度)
まず「エンティティ」は、四角形の図で描くオブジェクト(モノや実体)のことです。名前をつけて管理し、ER図の基礎となります。
2つ目の「アトリビュート(属性)」は、エンティティを具体的にしたもの(情報や項目)です。
例えば、パン(商品)なら以下のような属性を書き出せます。
【パン(商品)】
パンの種類、サイズ、重さ、賞味・消費期限、製造日、価格
営業で集めた顧客情報の場合は以下の属性です。
【顧客】
年齢、職業、メールアドレス、電話番号、住所
つまり、エンティティで決めた名称の下に、その属性を箇条書して情報をまとめると、それがエンティティになります。
3つ目の「リレーションシップ(関係)」は、ER図でエンティティが2つ以上ある場合に、相互の関係を示す図式のことです。
例えば、「パン」のエンティティと「仕入先」のエンティティがあるとします。一般的に、「仕入先」がパンの在庫を渡します。この関係を具体的に線で結んで、パンと仕入れの関係を図示するのです。
4つ目の「カーディナリティ(多重度)」は、その関係の数を示すものです。「パン」と「仕入先」だけなら、「1対1」や「1対多」、「多対1」です。
これをまとめたものが以下です。
- エンティティが1つ同士「1対1」
- 1つに複数なら「1対多」
- 複数同士なら「多対多」
関係する数によって、線の書き方を変えます。また、エンティティが0の関係もあります。
- 「0または1」
- 「0以上」
- 「1以上」
これらをすべて、記号と直線で示すことが可能です。
記法には「IE記法(鳥の足記法)」と「IDEF1X記法」の2種類が代表的です。どちらを使うかは、会社の好みや状況によります。
まずIE記法では、以下を「-(直線)」と図形記号を組み合わせた3つをパターン化して使います。
- ○ 0の意味
- l 1の意味
- <- 鳥の足(多の意味)
もう1つの「IDEF1X記法」では、直線と以下の7つの記号を使い分ける方法です。
- 記号なし(直線のみ) 1の意味
- ● 0以上の意味
- ●P 1以上の意味
- ●Z 0または1の意味
- ●N 数のNで具体的な数字をNの代わりに入れる(「●5」)
- ●N-M 数字による範囲指定(●2-5)
- ◇ 「非依存リレーションシップ」だけに使う、0または1
例えば、初期の開発(要件定義書・仕様書作成)には、IE記法を使ってER図を作成することがよくあります。
1.2 エクセルの作図機能
次に、エクセルでER図を描くときは、エクセルの作図機能を使用します。
「挿入」→「図形」でエクセルが提供する線や図形を確認します。
エクセルはセルで構成された計算や表・グラフを作成できるツールのことです。英語で「Excel」の表記はマイクロソフト社の表計算ソフト「Microsoft Excel」を指します。
他にも、オンラインでExcelの代わりに「Microsoft365」や「Googleスプレッドシート」も作図のエクセル機能を備えています。主に「図形」挿入や図形編集の機能のことです。
ER図は基本的に図形と矢印の組み合わせのため、エクセルのセル上に図形を用意して矢印やテキストを用意できるなら作成可能です。
2.エクセルでER図を描く手順
ここからは、実際にエクセルでER図を描く手順を紹介します。今回は「在庫管理システムの開発」のテーマでER図の作成を進めます。
Step1.ER図の記号を用意する
はじめに、ER図の記号を作成して、エクセル上に用意します。
事前に、「Microsoft Excel」を起動し、空白のエクセルのプロジェクトを作成しておきましょう。
ER図の記号を用意する手順は以下の通りです。
- セルを結合して白紙を作り、線を引く(or 図形機能で描く)
- 線と図形を挿入し、ER図の記号を描画
- 記号はグループ化して素材にする
上記の手順を繰り返します。
ここで用意した素材の挿絵をお願い致します。
ちなみに、在庫管理システムの開発で必要となるエンティティは以下です。
- 出入庫履歴
- 商品
- 仕入れ先
- 納品先
今回は、シンプルに4つのみで作成を進めます。詳細な作図の手順は次の通りです。
まず、ER図用に4つの四角形をセル結合して作ります。黒い線を入れると、図として見やすくなります。
次に、「挿入」から「図形」を選択し、「線」をクリックします。セル上に線画が表示されるため、縁の丸ツールをドラッグして伸び縮みさせ、適度な大きさに変更します。
IE記法をここでは使用するため、鳥の足の「多」と「1」を示す縦線をそれぞれ作ることです。そのためには、「線」を選択して、3つの線を記号の形になるように配置して変形します。
記号が完成したら、次の作業です。
このままでは線を個別にコピーできる状態です。しかし、同じ記号を素材として繰り返し使いたいため、グループ化します。[ctrl]をクリックして複数を選択し、右クリックで「グループ化」を実行可能です。
作成時に、左側に記号を用意しておけば、手間なく作成を進められます。
ちなみに、オンラインのMicrosoft365で使える無料版のExcelツールは、機能に制限があるため、グループ化はできません。デスクトップ版か有償版が必要です。
Step2.記号を配置する
図と記号を用意したら、エンティティの関係を示す記号を配置します。
- 出入庫履歴
- 商品
- 仕入れ先
エンティティ用に3つを配置したら、今回はその関係となる1対多で結びます。
まず、1対多の記号を選択した状態から[CTRL+D]のキーを押します。下に記号を複製します。この記号をドラッグ移動して、エンティティの四角記号の間に配置します。
Step3.テキストを入力する
ER図には、テキストでエンティティや詳細情報となる属性のアトリビュートをテキストで入れます。場合によっては、関係性もテキストで記述します。
- 出入庫履歴
- 商品
- 仕入れ先
- 納品先
今回は、4つの中でエンティティを一番上に入力します。その下に属性となる各項目を入れるのです。
この作業は、図形の中をダブルクリックで内部をテキスト選択し、文字入力します。線の付近に文字を入れる場合は、「挿入」から「テキストボックス」で入力可能です。今回は省略します。
ちなみに、エンティティの図形をセル結合で作った場合、項目の文字を次の行に入力するための改行は[ALT+Enta]のキーを押すことが必要です。
Step4.ER図全体をグループ化する
図形と記号を配置して、テキストを入れたらER図は完成です。
ER図を1つの図形として扱うために、図形と記号、テキストをすべて含めたグループ化を実施します。
- [Shift]で図形と記号をすべて選択した状態に
- 次に、右クリックで、「グループ化」をクリック
- 完了
これでER図を1つの図表として移動や選択ができます。
Step5.エクスポートする
一通りのER図作成が完了したら、ファイルを保存して、それを外部共有します。
例えば、Microsoft Excelの場合は、「エクスポート」の選択から「PDF/XPSドキュメントの作成」か「ファイルの種類の変更」のいずれかが可能です。
選択すると、形式と保存先が開き、名前を変更可能なエクスポートができます。
このエクスポートの手順で必要な形式を選択して、別のツールで使いやすくなります。
3.ER図作成ツールEdrawMax
ER図の作成は、エクセルを使わなくても、ER図作成ツールの「EdrawMax」を活用すれば効率的に進めることができます。
以下に、主な特徴を3つ解説します。
特徴1 豊富なER図のテンプレートと素材
まずは、豊富なER図のテンプレートと素材があることです。
(製品をPRするには、特徴を示すスクショは不可欠です)
例えば、ER図は、特殊なリレーションシップ(関係)の記号を使用するため、エクセルでは既存の線テンプレートは使えません。しかし、ER図の図形テンプレートには、線や矢印のバリエーションが数多く登録されています。
例えば、「関係」の中にある線を選択し、「詳細設定」を開くと、「線種」や「始点」「終点」を選ぶことができます。「多」を示す鳥足なら「終点」の35を選択することで、記号を追加できます。
エクセルでは線と図形作成が必要でしたが、EdrawMaxは始点・終点の選択のみでグループ化までの作業が1度に完了します。手間を掛けて1からパーツを作る必要がありません。
特徴2 高度な編集機能
EdrawMaxの作図機能は、エクセルにはない高度な編集機能が備わっています。
具体的には、図形の位置を動かすと、矢印や線もその配置に合わせて伸縮や形状を変えることが1つです。
また、左右を逆にする場合も線を選択して「置き換え」の記号(項目)をクリックするだけで左右を反転させることが可能です。これ以外にもさまざまな細かい操作ができます。
他にも、コネクタ線を別種に素早く入れ替えたり、複合タイプの選択(2重線)など細かな線の設定を施したりもできます。図形の色や背景の変更なども自由自在です。
特徴3 エクスポートと共有は便利
EdrawMaxには、エクスポートや共有もあり、ファイルとして出力や外部提供する際に便利です。
エクスポートでは画像やPDF、他の形式ファイルで出力保存できる機能があります。
また、共有ではリンクで他のチームメンバーや外部の者とファイルを共有して編集することが可能です。そのため、高画質なファイルをそのまま希望する形式で用意することができます。
4.よくある質問
ここではER図作成時のよくある質問を取り上げて解説します。
①ER図を作成する際のルールにはどのような種類がありますか?
ER図には、作成時のルールが3種類ほど設定されています。まず「表記ルール」では、記号の記法を守ることが1つです。
2つ目は、設計時の「構造ルール」です。ER図の依存関係などを正しく設定し、「主キー」は1つの意味に留めて、「外部キー」はデータの整合性を保ちます。
3つ目は「命名規則(ルール)」です。単数の名称で設定する、属性を意味のある項目だけ正しく追加する、なども描くときの約束事です。
② ER図を効率よく描くためのテンプレートはありますか?
はい、EdrawMaxというツールには、ER図を効率よく描けるテンプレートがあります。
作図ツールとして性能が高く、編集機能を上手く使うことで、複雑なER図も簡単に作れるでしょう。
③ER図をExcelでPDFや画像として保存する方法は?
ER図はツールやエクセルで作成した後、エクスポートでPDFや画像として保存できます。
保存の際に、変換できる種類の中に画像がない場合は、画面スクリーンショットで撮影するか、PDFから変換ツールで画像化を行う必要があります。
EdrawMaxは、PDFと画像のどちらでも保存が可能です。