マインドマップの活用

共感マップとは?事例に合わせて六つの要素と作り方を紹介【テンプレート付き】

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編集者: Edraw

ユーザー理解を深めるためのフレームワークとして注目されているのが「共感マップ(エンパシーマップ)」です。感情や思考を視覚的に整理できるこの手法は、UXデザインやマーケティング、商品開発に携わる方に特におすすめです。ペルソナ設計がうまく活用できないと悩んでいる方にも有効で、本記事では共感マップの定義や6つの要素、作り方、業界別の活用事例、無料テンプレートをツール「EdrawMind」とあわせて紹介します。

Part1. 共感マップとは?

共感マップとは

共感マップ(エンパシーマップ)とは、ユーザーの感情や思考、行動を6つの視点で視覚的に整理し、深い理解を得るためのUXフレームワークです。具体的には「見ていること」「聞いていること」「言っていること・行っていること」「考えていること・感じていること」「痛み(課題)」「得られるもの」の6要素で構成され、主にユーザーインタビューなどの定性調査結果をもとに作成されます。

共感マップの最大のメリットは、ユーザーの内面までを可視化し、チーム全体で共有できる点にあります。プロダクト開発、UX改善、マーケティング戦略の立案など、幅広い領域で活用されており、特にユーザーの「なぜその行動を取ったのか」を深く掘り下げるのに役立ちます。

以下に、共感マップの定義・メリット・活用される場面についてペルソナと比較しながらまとめました。

項目

共感マップ

ペルソナ

定義

感情・行動・思考を視覚化したユーザーの理解モデル

仮説に基づいた典型的なユーザー像

メリット

ユーザーの感情的背景を深掘りできる

ターゲットの明確化

活用される場面

UX設計、サービス改善、チームの認識共有

マーケティング戦略、ターゲティング

共感マップとは カスタマージャーニー例

さらに、共感マップはカスタマージャーニーマップの前段階としても活用されます。ユーザーの感情を把握したうえで、サービス利用の各接点における体験を時系列で整理するジャーニーマップとの連携により、UX戦略の精度を高めることが可能です。

Part2. 共感マップの6つの要素

共感マップは、ユーザーの行動や感情を6つの視点で整理することで、顧客理解を深めるフレームワークです。以下では、それぞれの要素について、具体的な事例を交えて解説します。

共感マップの6つの要素

1. 見ていること(See)

ユーザーの視界に入っている情報や環境を把握します。たとえば、あるユーザーがECサイトを利用している場合、「広告」「SNSのレビュー」「他社の商品ページ」などが該当します。この視点を把握することで、ユーザーの情報源や判断材料が明らかになります。

2. 聞いていること(Hear)

ユーザーが影響を受けている声や情報、アドバイスを洗い出します。例として、職場の同僚の意見や、口コミ、家族や友人の推薦などがあります。ユーザーが行動を起こす背景にある第三者の存在を理解するための要素です。

3. 言っていること・行っていること(Say and Do)

ユーザーが実際に発言していることや、日常的に取っている行動を観察します。たとえば「安い商品がいい」と言いつつ、高機能な商品を選ぶようなケースです。表面の言動と実際の行動のギャップに気づくことで、潜在的なニーズが見えてきます。

4. 考えていること・感じていること(Think and Feel)

ユーザーの内面にある思考や感情を探ります。喜び、不安、悩み、期待など、表面には見えない心理状態を深掘りします。例として「使いやすいけど、デザインが少し気になる」といった感情が挙げられます。

5. 痛み(Pain)

ユーザーが抱える課題や不満、ストレスを明らかにします。たとえば「商品の選択肢が多すぎて迷ってしまう」「購入手続きが複雑」といった障壁です。ユーザー体験を損なう要因を特定する重要な視点です。

6. 得られるもの(Gain)

ユーザーが得たい成果や、理想とする状態を整理します。成功体験、達成感、時間短縮などが含まれます。たとえば「手間なく商品が届くと嬉しい」といった前向きな価値がこれに該当します。

これらの6要素を体系的に整理することで、ユーザーの行動や感情の裏にある「本当のニーズ」を明確にし、より精度の高いUX設計やマーケティング施策につなげることができます。

Part3. 共感マップの作り方

共感マップの作成には、ユーザーの行動や感情を深く理解し、それを視覚化するプロセスが必要です。ここでは、ツール「EdrawMind」を活用した具体的なステップを紹介します。

ステップ1:目的を明確にする

共感マップを作成する前に、何のためにユーザーを理解したいのか目的をはっきりさせましょう。たとえば「Web制作会社でクライアントの目的などを理解」や「既存商品の購入障壁の発見」などです。目的を明確し、マップ中央に配置することでインタビューや観察の焦点も定まります。

共感マップの作り方 目的を明確にする

ステップ2:ユーザーの声を収集する

インタビューやアンケート、ユーザーテストなどを通じて、対象ユーザーの具体的な行動や発言、感じていることを収集します。EdrawMindの「ノート機能」や「AI読み込み機能」を使えば、記録した内容を簡単に整理・反映できます。

共感マップの作り方 ユーザーの声を収集する

ステップ3:6つの視点に分類して整理

収集した情報をもとに、「見ていること」「聞いていること」「言っていること・行っていること」「考えていること・感じていること」「痛み」「得られるもの」の6つに分類します。EdrawMindのマインドマップ機能を使えば、各視点ごとにノードを展開して収集した記録を付箋や図形、フローティングトピックを使って整理できます。

共感マップの作り方 6つの視点に分類して整理1

共感マップの作り方 6つの視点に分類して整理2

ステップ4:チームで共有し仮説を立てる

完成した共感マップをチームで共有し、観察から得たインサイトをもとに仮説を立てます。「このユーザーは○○に悩んでいるのでは?」といった解釈を加えることで、次のアクションが明確になります。

共感マップの作り方 チームで共有し仮設を立てる

このように共感マップは、情報を集めて整理するだけでなく、チームでの認識共有やアクション設計にも活かせる強力なツールです。EdrawMindのような可視化ツールを使えば、誰でも簡単に実践可能です。

Part4. 【失敗しない】共感マップ作成の落とし穴

共感マップはユーザー理解を深めるための有効な手法ですが、いくつかの落とし穴に注意が必要です。よくある失敗例を事前に把握し、質の高い共感マップを作成するためのポイントを押さえておきましょう。

1. 仮説ベースで埋めてしまう

インタビューや観察などの実データを使わず、「たぶんこうだろう」といった憶測だけでマップを埋めてしまうと、ユーザー理解が表面的になってしまいます。事実ベースで記述することが重要です。

2. 一部の視点しか記入されていない

6つの要素のうち、記入しやすい「言っていること・行っていること」だけに偏り、感情や痛みなどの内面的な視点が抜け落ちるケースがあります。バランスよく情報を整理しましょう。

3. 作成しただけで満足してしまう

共感マップは作成して終わりではありません。マップをもとにチームでの共有や仮説検証、施策立案につなげることが、本来の目的です。

これらの落とし穴を避けることで、共感マップをより実用的かつ成果につながるツールとして活用できます。

Part5. 業界別・職種別の活用事例とテンプレート【3選】

共感マップは業界や職種を問わず活用できる汎用性の高いツールです。ここでは、3つの異なる分野での活用事例と、それぞれに適したテンプレートを紹介します。

1. Web制作会社(クライアント理解)

新規サイト制作において、クライアントの目的や不安、期待を明確にするために共感マップを使用。営業担当がクライアントへのヒアリングを通じて6つの要素を整理し、デザイナーやディレクターと共有。EdrawMindのマインドマップテンプレートが視覚的で効果的。

共感マップ テンプレート web制作会社

2. 人材業界(求職者分析)

キャリアカウンセリングの現場で、求職者の本音や迷いを引き出すために活用。転職理由や理想の働き方などを可視化することで、本人も気づかなかった志向性を発見できます。カード型テンプレートが1対1の面談に最適。

共感マップ テンプレート 人材業界

3. EC事業者(ユーザー体験の最適化)

リピーターが少ない課題を抱えるECサイトで、購入者の視点を分析。カスタマージャーニーマップと併用することで、離脱ポイントや満足要因を明確化。表形式のテンプレートでチーム共有がスムーズ。

共感マップ テンプレート EC事業者

これらのテンプレートはEdrawMindで無料提供されており、目的やシーンに合わせて柔軟にカスタマイズできます。

まとめ

共感マップは、ユーザーの視点や感情を深く理解し、サービス改善やUX設計の精度を高めるための強力なツールです。6つの視点を体系的に整理することで、表面的なデータだけでは見えない「本音」や「課題」に気づくことができます。

無料体験版があるEdrawMindのようなツールを活用すれば、誰でも手軽に共感マップを作成・共有でき、チームでの意思疎通もスムーズになります。ぜひ、この記事で紹介した手法やテンプレートを活用して、ユーザー理解を一段深めてみてください。

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